初体験。
2010.07.09 Friday


「初体験」て、打ち合わせの時間のことなんですがね……。
午前1時とか2時に始めることって、連ドラとか昼帯とかやってると、ときどきあるんですよ……。
でも三日前、午前4時半にメールがあって、今から打ち合わせしたいっていうから、シカとしてたんですよ。
そしたら10分後に「今から用賀に行きます」ってメールが来たんですよ……。
それも私、冗談じゃねえよと、シカとしてたんですよ。
でも私、その辺が生真面目に出来てるのか、寝るのをやめたんですよ。
もし本当に来ちゃったら、行かないと可哀相だと思って。
そしたら5時半頃に「今、用賀に着きました。どこへ行けばいいですか」っていうメールが来たんですよ。
マジかよ、こいつらと思いましたけど、私、小心者だから、行きましたよ、ジョナサンへ。
相当不機嫌な顔してましたよね、私。だって、普通はちょうどこれから寝ようかって時間ですから。
で、最初は誤字脱字の指摘ですよ。
そんなのそっちでやってくれりゃあいいだろうがと思うんですが、その会社のプロデューサーは、脚本家の原稿は一文字たりとも直してはいけないというポリシーの会社なんですね。
いいと言えばいいんですが、面倒と言えば面倒なんです。
だって、「点が違います」って「、」と「,」を指摘して来るんです。
それで私またムッとして、君たちがやった方が早いだろって、原稿をあっちに向け、赤鉛筆を渡してやったんです。
二人来たんですが、二人ともまだお若い女子なので、二人でこそこそ私の原稿に赤を入れて直しておりました。可哀相に。
でも家に帰って、ワードで直すのは私です。
そのうち、肝心な部分に来て、そのシーンのちょっとした直しになったんですが、私、どうしても納得がいかない。
そう直すと、作品のテーマが変わってしまうから。
「それは違うでしょ? じゃあ、君、テレビ誌の記者が来て、今度の作品はどういうテーマですかって聞かれたら、一体なんて答えるの?」って、意地悪く聞いてやったわけです。
そしたら彼女、口ごもるわけです。
それはそうです。脚本を書く前に決めたテーマと全然違う方向の直しになるわけですからね。
私が一番嫌うパターンなんです。
それで、なるほどと思ったんですが、それは監督の意見なんですね。監督に「石原に直させて来い」って言われて、まだ若い彼女たちは私のところに来たわけです。
彼女たち、監督と脚本家の間に挟まって、困り果ててたわけですね。
可哀相ですね。
でも、断れよ、そんなもん。違うだろ、テーマが。
と思って、ちょっとごねたんですが、時間はもう朝の九時頃になってて、わたしが一番眠い時間になって、視界がクラクラして来たんで「いいよ、じゃあ、どうしろって言ってるの!?」と居直ってしまったわけです。
そんなこんなで終わったのが10時半です。
午前五時半から十時までの打ち合わせなんて、この業界入って初めての体験でした。
それから帰って、眠いのに原稿直しをやったわけですが、むかついてたので、言われた通り書いてやれと思ったんですが、そこはやっぱりそれなりの意地もあるわけですね、石原武龍には。
だから、まんま直す気にはなれない。
もう時間がなくて決定稿にしなければいけないから、また問題が起きると、クランクイン出来ない。
とはいえ、言いなりに書くのはシャクだ。
なので、テクニックを駆使しました。
あっちのオーケーが出て、自分もある程度納得する、微妙な言い回し。
それでやりました。
二時間くらいで終わるはずだったんですが、結局、夕方までかけてちゃんと直しました。
でも、セリフ一本だけは、未だに納得いかないんですが、まあ、その線で監督が撮る自信があるのなら、完成作品を観てみましょうかという感じです。
でも作品自体は面白いです。
きっと今まで以上に視聴率を取る作品になるだろうという感触はあります。
でも、この打ち合わせの作品名を書けないので、みなさんはよく判らんですね。
愚痴か、これは?
まあ、そういうことで初体験のお話でした。
ちなみに、最後に原稿をメールで送るとき、私はこの一行だけを書きました。
「君たち、中年虐待で訴えてやるからな」って。
だって、その前の日だって、2時間しか寝ないで、頑張って原稿送ったんだもん。しかもまだ寝てないのに、次の日にまた午前五時半に打ち合わせして、そのまま原稿直せって、可哀相じゃないですか、私が。
でも、彼女たちはきっと、もっと寝てないんですよね。
完徹三日くらいかも、でした。
ごめんね、いじめて。
写真は、負けちゃった国の子と勝っちゃった国の子です。
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